コールセンターは、顧客と会社の接点となるため、顧客の体験価値に大きく影響する部署です。
担当者と会話できることによって、顧客は安心を得ることも多いことでしょう。
ですが、すべての電話の対応をするには人員も工数も多く割かれてしまうしまうという問題点もあります。
以前より、オペレーターの人員不足が問題視されているこのコールセンターの問題に対し、どのような解決策があるのか紐解いていきたいと思います。
実はコールセンターにすぐかけるユーザーは8.6%程度
NTTコム オンラインが行った日常生活において、コールセンターに電話をすることがある20代以上の男女1,099名に行った調査によると、『顧客はコールセンターに電話をかける前にどんな行動をとるのか』という問いに対して、71.9%の人が「Webで検索して解決を試みる」と回答しており、疑問や問題が起こった際はまずWebで検索を行う人が増加しています。
一方で、「特に行動はとらず、いきなり電話をする」と回答した人は8.6%で昨年の9.8%から1.2%低下しています。
「特に行動はとらず、いきなり電話をする」と回答する人数は減ったものの、一定数の顧客は問い合わせの際に電話を積極的に活用しているという結果から、顧客をどう誘導していくかという点が、大きな分岐点となりそうです。
71%を自己解決できるステージに誘導できるかがカギ
電話をかける人の前提として
どこを見たらいいか解決策があるのかわからない(探したけれども分からない)
回答が見つからない(解決策が載ってない)
等があげられます。
しかし、生命にかかわる救急車要請の電話さえ、症状に緊急性がなくても、「交通手段がない」 「どこの病院に行けばよいかわからない」 「便利だから」「困っているから」 と 救急車を呼ぶ人がいるように、重要な用件でなくても、手軽に電話をかけてしまう人がいるというのも確かです。
この、「なんとなく便利だから」というユーザーにをいかに自己解決できるステージ(WEBやチャットボット)に誘導できるか、がとても重要になってきます。
そのためには何が必要かを考えましょう。
自己解決へ誘導するためにすべきこと3つ
①WEBサイトの最適化
では次に、どのように誘導していくかを検討します。
ここで必要なのはコールセンターに電話をかける前に顧客が行っている行動の第1位である「Webで検索して解決を試みる」を成功させるためのWEBサイトの最適化です。
では、どうすれば顧客自身が解決できるWEBサイトになるのでしょうか。
そのために考えなければいけないことは以下です。
ユーザーは誰か
そのユーザーにとっての「見やすい」とは何か
それらを踏まえた上で、このページの目指す目的は何か
事前にコンセプトを考え、ユーザーのニーズを検討し、レイアウトを組むことが大切です。
分かりやすいWEBサイトというと、どうしてもデザインに目が行きがちですが、WEBサイトの目的・特性のわかりやすさ、デザイン(色・レイアウト)等、表示速度、欲しい情報・サービスの探しやすさなど、総合的な目線が必要です。
②FAQを整備する
FAQページを作成したものの、アナリティクスを確認するとあまり利用されていなかったり、FAQで回答を載せているにも関わらず問い合わせが発生するケースは多いものです。
FAQはサイトに導入すれば自然と閲覧されるようなものではなく、ユーザーにとってわかりやすい内容になっていなければ効果は得られません。さらにリンク切れはないかなどを確認し、常に最新の情報に更新しておくことも重要です。
FAQ作成のポイント
<情報収集>
コールセンター、カスタマーサポート、問い合わせフォームなど、過去にやり取りしているログから質問を選出します。
<質問を整理し、優先順位付けをする>
問合せの多さ・回数・頻度を用いて優先度を可視化するABC分析が効果的。
問合せの多い質問を順に横軸に並べ、縦軸に回数や頻度を設定することで、質問の優先順位が明確になります。
<質問と回答を紐づける>
質問への回答を簡潔にした後で、補足するFAQや関連ページを紐づけしましょう。効果的に紐づけられれば、Webサイト内をユーザーが回遊するため、アクセス増加や問合せ件数減少などの成果に繋がります。
③気軽に聞ける場を用意する
手軽に聞けるチャットボットは自己解決に有効
コールセンターに電話をかければユーザーは皆満足するのか?というと、実はそうとも言い切れません。実に半数近い方が「コールセンターに電話しても問題が解決しなかった」
と回答しています。
その内訳は以下の通りです。
窓口混雑、または音声入力で待たされて問題解決を断念した・・・39%
オペレーターが質問に答えられなかった・・・39%
音声ガイダンスでの入力が煩わしいので電話での問題解決をあきらめた・・・19%
その他・・・3%
そこで、電話をかける前、ユーザーがWEBサイトに訪れた段階で、解決できる窓口をアピールできればもっと顧客満足度は向上するはずです。
せっかくFAQを整備したとしても、どこにあるのかわからなくては役に立ちません。
なので、FAQページ、問い合わせフォーム、はとにかくわかりやすい場所に設置するべきです。
さらに、訪れたユーザーに積極的にアピールできるのはチャットボットです。
チャットボットはユーザーがある程度文章やコンテンツを呼んだと思われるタイミングで自動で立ち上げることも可能ですし、トリガーを使って立ち上げることも可能です。
何に困っているのか、どこに問い合わせたいのかインタラクティブに聞き出すことが可能です。
回答を用意できるものがあればチャットボット上だけで解決できますし、難しいものに対しては必要情報を収集し、担当者に事前情報として引き渡すことができます。
さらに、オペレーターにつながるまでの経緯や、購入履歴などの情報をスムーズに引き渡すことで、「コールセンターにかけてもオペレーターが返答できなかった。」といった現象を抑えることが可能です。
コールセンターに合うDXとは
先述したWEBサイトの最適化のほか、コールセンターの負担を軽減させるDXとしてお勧めできるのは
IVR
チャットボット
等があげられます。
IVRとは「Interactive Voice Response」の略で、音声によって自動で応答する装置を意味し、コールセンターをはじめとする受付窓口などで多く利用されています。
顧客からかかってきた問い合わせの電話に対して、音声認識やプッシュボタンによる操作の案内を流し、用件ごとに適切な担当者に振り分けることが可能です。
ただ、先述した通り、コールセンターにIVRを導入したからと言って顧客が問題を解決でいるわけではありません。
振り分けるための階層が深かったり、せっかく振り分けてもそこからつながらなかったりすると、やかりユーザーは電話を切ってしまいます。
このことから、応答率の向上が目的ならチャットボットとビジュアルIVRを連携させて導入という選択肢もおすすめです。
つまり、電話がつながらない営業時間外は、自動音声ガイダンスからSMSでWEBサイト、チャットボットのURLをご案内することで、顧客のお電話を無駄にせず、解決案を提示することができます。
さらに、オペレーターの対応品質の均等化にも貢献できるツールですので、営業時間内の対応品質向上にもつながります。
また翌日以降、コールセンターへのコール数を減らす効果も期待できます。
そして、チャットボットでFQAの検索や問い合わせだけでなく「コールバック予約サービス」を行うようにすれば、ユーザーに待ち時間を作ることなくオペレーターとのやり取りが行えるようになります。
どのようなツールもすべてが完璧ではありません。
ですが、組み合わせや使い方、使う側のアイデアによってさまざまな新しいサービスや、対応が可能になるのではないでしょうか。
一つのツールにこだわらず、それぞれの利点を組み合わせた活用方法を行えば、さらに業務改善が進むはずです。
ぜひ、自社のサービスにぴったりのDXをご検討ください。
出典・引用元:NTTコム オンラインhttps://www.nttcoms.com/service/mobileweb/column/20220805/
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