AI(人工知能)にすべての仕事を任せられる?
チャットボットを導入しようと検討した際、様々な機能を比較検討されるかと思います。
実際、チャットボットで実現できる機能は増えており、さらにポップアップを利用し語り掛けることでユーザーに強く働きかけることが可能です。
さらにチャットボット上でフォームを立ち上げチャットボット内だけでサービス申し込みや問い合わせが完結したり、買い物カゴのカゴ落ち対策専門のチャットボットが登場する等、様々な機能が幅広くリリースされています。
ですが、機能が充実していればCVRが向上するのかといえば、そうとも言い切れません。
プロセスを自動化したり、問題解決できるチャットボットを作るためには、計画性、ライティングスキル、イテレーション、そして継続的な努力が必要です。
そこで今回はAI(人工知能)が得意なこと、不得意なことをおさらいしてみました。
AI(人工知能)で得意なこと、不得意なことが理解できれば、何をAI(人工知能)に任せて、何を人間が行うか役割分担がはっきりするはずです。
そもそもAI(人工知能)とは
AI(人工知能)の辞書的な定義は「学習・推論・判断といった人間の知能をもつ機能を備えたコンピューターシステム」ですが、学術的にはAI(人工知能)という言葉は多義的であり、人によってその捉え方は異なります。
さらに、AI(人工知能)は「特化型AI(人工知能)」と「汎用型AI(人工知能)」に分類することができることをご存知でしょうか。
特化型人工知能(Narrow AI)とは
限定された領域の課題に特化して自動的に学習、処理を行う人工知能を指します。具体的には、画像認識や音声認識、自然言語処理などの技術を持つ人工知能です。現在ビジネス領域で広く活用されているAIは特化型人工知能に当たります。
汎用人工知能(Artificial General Intelligence)とは
特定の課題にのみ対応するのではなく、人間と同じようにさまざまな課題を処理可能な人工知能を指します。
引用:ledge.ai https://ledge.ai/agi/
人間のような問題処理能力をもつAIが汎用人工知能です。
汎用人工知能は、プログラムされた特定の機能以上の状況に対しても、自ら学習を行い、能力を応用することによって問題を処理できるとされています。
実用化に高い期待が寄せられているものの、未だ実現はしていません。
AI(人工知能)と機械学習・ディープラーニング(深層学習)についておさらいしてみよう
AI(人工知能)と機械学習・ディープラーニング(深層学習)には
AI(人工知能) > 機械学習 > ディープラーニング(深層学習)
という関係が成り立ちます。
最も広範なのがAI(人工知能)であり、機械学習はAI(人工知能)に含まれます。
そして、機械学習に中にディープラーニング(深層学習)が内包されています。
AI(人工知能)を「学習・推論・判断といった人間の知能をもつ機能を備えたコンピューターシステム」とした際、その計算を自動的に行うシステムが機械学習です。
機械学習には様々な種類が存在し、その1つがディープラーニング(深層学習)です。
機械学習では大量のデータから規則性や関連性を見つけ出し、判断や予測を行いますが、そのためにはデータの特徴(パラメータ)を人間が指定する必要があります。
そして、ディープラーニング(深層学習)は機械学習にメカニズムを追加した機械学習の一分野です。
AI(人工知能)が得意なこととは?
学習(インプット)したデータに基づく単純作業
複数データからの共通点抽出
テキスト・画像・音声データの分析
学習(インプット)したデータに基づく単純作業
学習(インプット)したデータに基づく単純作業とは、経費業務や経費計算に必要なデータ入力のように、文字や数値をコピーして貼り付けたり、未入力項目をチェックしたりといった単純な作業のことです。
こういったパターン化がされている作業はAI(人工知能)による自動化を進めやすい領域です。
AI(人工知能)に作業のロジックを覚えさせれば、後はAI(人工知能)が同じ作業を進めてくれるため、人間が行うよりも正確でミスを減らすことができます。
複数データからの共通点抽出
AI(人工知能)は複数データにおける共通点の抽出も得意です。
例えば、防犯分野では防犯カメラの映像から犯人を特定する際に、犯人の人物像と共通点の多い人物を見つけ、その人物を自動追跡することも可能となっています。
身近な経験で例えるなら、ECサイトでショッピングをしていると「こちらの商品もお勧めです」といった表示がされた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
こういった機能も、購買履歴の商品データから共通点を抽出し、共通点を持つ別の商品を表示させています。
テキスト・画像・音声データの分析
最近頻繁にテレビコマーシャルで目にするGoogleレンズなどは、画像として取得したものを瞬時で検索したり、画像からテキストを抜き出したり、カレンダーに予定を追加したり、ルートを調べる、電話をかける、翻訳するなどの操作ができます。
分からない言葉だけでなく、数式などもレンズを通して画像検索を行えば、テキストを抜き出し解法が検索できるなど、とても便利です。
また、顔認証によるスマートフォンのロック解除のように、ディープラーニング(深層学習)を利用した顔認証であれば、正面だけでなく斜めを向いた顔やサングラスを利用した顔でも認証が可能です。
GoogleアシスタントやSiri、Amazonのアレクサなども、かなりなじみ深いものになりつつあります。
これは音声データの分析によって行われているものの代表例といえるでしょう。
以上のように、AI(人工知能)で行えることは単純作業やデータの共通点の抽出、テキスト・画像・音声データの分析などです。
では、まだ不得手とされている作業にはどのようなものがあるのでしょうか。
AI(人工知能)が苦手な分野とは?
さまざまな分野で役立っているAI(人工知能)ですが、実際にはAI(人工知能)ではまだできないこと(苦手なこと)もあります。
創造性が求められる分野
感情をくみ取る
創造性が求められる分野
実はAI(人工知能)が作曲をしたり、絵をかいたり文章を書くことは可能です。
AI(人工知能)での作曲を可能としているAIVAを例に挙げると、AI(人工知能)で過去の名曲に存在する特定のパターンなどを見つけ出し、人間の作曲プロセスをより短縮化することを可能としています。
AI(人工知能)が行っているのは、楽曲のパターン分析をもとに曲の土台を作るという部分です。
そういった意味では創造性があるといえますが、あくまで「学習したデータから指定された共通点やパターンを見つけ出し抽出する」といった工程となるため、さまざまな音楽の学習や構成などは、人の手の助けが必要となっています。
ただ、驚くほどスピーディにあらゆるジャンルの音楽を作曲し、完成度も高くなっています。
絵や文章も同様でAI(人工知能)は創作物の良し悪しを判断しているわけではなく、ゼロから新しいものを創造することはできません。
感情をくみ取る
人が生活するうえで欠かせないコミュニケーションですが、人間は言葉の真意と表面上の意味が異なることがあります。
「ありがとうございます」や「大丈夫」といった文章を受け取っても、それが本心なのかは生身の人間でさえ判断に迷うことがあるでしょう。
脈拍や声のパターン、発汗などさまざまな材料をもって大量の学習と装置があれば、かなりの確率でパターンに当てはめることは可能かもしれませんが、チャットのようにポンと「ありがとう」と打ったからといってその真意はAI(人工知能)には推測できません。
受付のようなパターン化可能なコミュニケーションは可能ですが、人の気持ちをくみ取ったうえでのコミュニケーションは困難という事です。
まとめ
漠然と「何でもできる」という印象を持ってしまいがちなAI(人工知能)ですが、大量のデータから規則性や関連性を見つけ出し、判断や予測を可能とするためにはデータの特徴(パラメータ)を人間が指定する必要があるということを忘れてはいけません。
革新的な技術であっても、その技術の恩恵にあやかるにはユーザーのニーズを理解し予測し、適切な体験を構築するための技術と経験という人間の力がまだまだ必要です。
抽出されたパターンだけに目を向けてしまうと、大切な本心を見落とすことになりかねません。
しかし、AIで得意なこと、不得意なことを理解して人間との役割分担を行うことができれば、ユーザーにとってよりよい顧客体験の実現につながるのではないでしょうか。
なかなか自社で取り組むのは難しい、という際はユーザーのニーズを理解し予測し、適切な体験を構築するための技術と経験を持った専門BPOに依頼することもお勧めです。
WIRED https://wired.jp/2020/07/25/aiva-interview/
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